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Rated Disc Battle

ディスクレビュー

エントリー

  • 2019/01/22

2042 / RACETRAITOR

2042 / RACETRAITOR
発売日
発売中
レーベル
Good Fight Music
関連URL
https://racetraitor-hc.bandcamp.com/

1990年代後半に米イリノイ・シカゴから現れたブルータルかつウルトラヘヴィなポリティカル・ハードコアRACETRAITORが、名門Uprisingからリリースされた1st以来20年ぶりのフル・アルバムを発表。2016年の再結成以降、2作のEPをリリースしていて、最高だったけど、アルバムやっぱ嬉しい!ハードラインxVxの象徴VEGAN REICHや、後のARMA ANGELUS、CREATION IS CRUCIFIXION、FALL OUT BOY、KILLTHESLAVEMASTERのメンバーが在籍したバンドとしておなじみだけど、現在はDRIVENのメンバーを含むラインナップで話題になったRelapseのストーナー・スラッジHOWLや、一時A STORM OF LIGHTのライヴ・メンバーでも活躍していた女性ギタリスト・Andrea Blackさんが加入しているのがヤバいです。アルバムめちゃくちゃかっこいいし、この尺だからわかることもいくつかあって。まずひとつは、1stアルバム時の猛烈なサウンドプロダクションは意図しない奇跡系だったのであろうこと笑。BURN IT DOWNとのスプリットの時には判断を保留にしていたけど、NEUROSISとかJOAN OF ARC、RUSSIAN CIRCLES、UNEARTHLY TRANCEなんかの作品にも携わっているGreg Normanさん(シカゴ・Greg Studios II)が手がけた本作のクリアな音像が本来求めていたものなんだろうし、1stの音じゃなくても十分ヘヴィです。ふたつめは、デスメタル / グラインドコアのムードと、EARTH CRISIS以降のハードコアのムードのミックスに当初から本気で取り組んでいたんだなあ~ってこと。たぶんすごく拘っているであろう低いピッキングハーモニクスの感じとかINCANTATION、IMMOLATIONだし、ブレイクの作り方とかすごくUSグランドっぽい。でも突進力とか高揚感は完全にタフなハードコアなんだよね。もう、言うことないっすよ。音楽性は全然違って、RACETRAITORのほうが圧倒的にブルータルだけど、同じくUprisingをルーツに持つMISERY SIGNALSのファンにも聴いてみてもらいたいです。なお、一時EARTH CRISISのサポートも務めたドラマーのAndrew HurleyさんはSECTのメンバーでもあるので、3月に来日。激ロッ○さん的には“FALL OUT BOYのHurleyさん”かもしれないけど、少なくともおれらはKILLTHESLAVEMASTER、RACETRAITORのHurleyさんとして迎えよう笑!しかしHurleyさんはエラいよね。現在はFOCUSEDxMINDSのメンバーでもあるわけだけど、同バンドがSELF DEFENCE FAMILYのメンバーを含んでいたことを考えると、色々脈々と受け継がれてる感じがする。

text by 久保田千史