1. Home
  2. Rated Disc Battle
  3. Untitled

Rated Disc Battle

ディスクレビュー

エントリー

  • 2019/01/19

Untitled / GRAVE UPHEAVAL

Untitled / GRAVE UPHEAVAL
発売日
発売中
レーベル
Nuclear War Now! Productions
関連URL
https://graveupheaval.bandcamp.com/

完全に個人的な話になっちゃうんですけど、GRAVE UPHEAVAL好きだなあ~。ここ数年で登場したデスメタルの中で一番好きかも。生まれて初めて、友達やセンパイにダビングしてもらったとかじゃなくて、自分で金出して買ったデスメタル作品がたぶんINCANTATION『Onward To Golgotha』だったんですけど、GRAVE UPHEAVALを聴いてると、その頃の気持ちをめちゃくちゃ思い出して、わくわくするんですよ。GRAVE UPHEAVALがINCANTATIONっぽいと言いたいわけではないです。近いデプス感はあるにせよ、むしろ全然違うんです。IMPETUOUS RITUAL、TEMPLE NIGHTSIDEや2013年の来日公演が素晴らしかったPORTALのメンバーを含むだけあって、ブラックメタル的に不穏でリチュアルな持続感、ネオサイケ、ポストパンクに通じる荒涼としてコールドなアンビエンスが特徴なんですけど、そのムードがデスメタルと出会った頃の記憶を強烈に喚起するんだと思います。脳内のデスメタルの“印象”のみが、なんらかの儀式めいた技術を以って抽出されるような。そういう意味では、シューゲイズ要素とかはないけど、ノスタルジックなイメージを喚起するドリームポップっぽいのかもしれないな~。「Silent Hill」のセーブポイントとか。共通言語としてのテキストが伴わないのも効果として大きいんじゃないでしょうか。そんなわけで、2013年の1st以来とっても楽しみにしていた2ndアルバムです。ヴァイナルはダイハードじゃないレギュラーでも経済的に買えなかったので、CDエディションにしました。でもCDは豪華なデジブック仕様!前作と違って文字は記されているけれど、一朝一夕には解読できないでしょう。ダイハード・エディションに含まれていたライヴCDも同梱された2枚組。前作での塗りつぶしてゆく感じとは違う、輪郭が見える音作りになっていて、個人的に物足りなさを感じちゃったけど、その分巧みなコンポジションや演奏が浮かび上がってきます。やっぱり聴いてるとぐいぐい引き込まれちゃいますね。

text by 久保田千史