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Rated Disc Battle

ディスクレビュー

エントリー

  • 2018/10/11

Love In Shadow / SUMAC

Love In Shadow / SUMAC
発売日
発売中
レーベル
Thrill Jockey / Daymare Recordings
関連URL
https://sumac.bandcamp.com/

Brian Cookさん(BOTCH, RUSSIAN CIRCLES, TRIAL, THESE ARMS ARE SNAKES ほか)、Aaron Turnerさん(ISIS, OLD MAN GLOOM ほか)、Nick Yacyshynさん(BAPTISTS ほか)のトリオによる、灰野敬二さんとのコラボレート作を挟んで『What One Becomes』以来2年ぶりのフル・アルバム。前作では、当時Jumboさんがレビューでも書いていた通り、コールドで無機物めいた(と言ってもプラスティックではなく鉱物的な)質感と、生々しい熱量が同時に感じられて、何とも形容し難い異色ヘヴィロック作品だったけれど、今回も異色。過去作以上にメロディであると認識できるフレーズが多用されてはいるものの、『Oceanic』みたいなメランコリアとは違って、不良じみてジャジーだし、ミニマルでトランシーなパートは呪術的だけど決してスピリチュアルではない。つまり一番近いのはやっぱ『Times Of Grace』前後のNEUROSISで、前作に引き続き録音を担当しているKurt Ballouさん(CONVERGE)もSteve Albiniの音を意識しているようにすら思えます。だからこそ、NEUROSISはクラストパンク、SUMACはニュースクール・ハードコアっていう根っこの違いが見えてくる感じもある。両者、そこから随分と遠くまで来て、孤高の存在になってしまったということも。あと、ZENI GEVAとZAO『The Fear Is What Keeps Us Here』のハイブリッドから、表面的なエモを完全排除したみたいなあり得なさもある。

text by 久保田千史