Extreme the DOJOのファンの中には、近年のBorisを“ヒヨった”的所見で聴かなくなってしまった方がいるかもしれません。しかしBorisは常にエクストリーム。“ヴィジュアル系とかアニソンみたいになった”と言われた『New Album』だって、あの時点でBorisにとって最大級にエクストリームな表現だったわけです非常に端的に言えば。“常にオルタネイティヴ”と言い換えても良いかもしれない。だから、その時代その時代でBorisみたいなバンドは他に存在しないことになる。『DEAR』に関しても当然そうなのだけれども、“エクストリーム”のベクトルは今回、巡り巡ってExtreme the DOJOのファンともリンクするはず。ていうか、そうじゃなかったらちょっと嫌だなあ。圧倒的な大音量とウルトラヘヴィネスというBorisのパブリックイメージのひとつを、この10年で培った楽曲主義の構造にみっちりと投入していて、そのへんのドゥーム / スラッジ・メタルを完全に凌駕する極悪なまでの重量感・音圧と、ポップに聴けるメロディと構成が同居するすごいアルバム。古参がニヤニヤしそうな要素はそこかしこに散りばめられているけど、“現行バンドの新しいアルバム”としての強度がハンパないです。今年25周年を迎えるだけに、もはや世界の大ベテランだけど、往年のファンにもこれからの方にもフレッシュな印象を残すであろう傑作です。“今聴きたいBoris”がここにあります。
