当代プログレッシヴ・サザン・メタルの旗手MASTODONによる最新EP。収録されている4曲はいずれも近作への収録から漏れてしまっていたアウトテイクで、“North Side Star”“Blue Walsh”“Cold Dark Place”の3曲は2014年発表の6thアルバム「ONCE MORE 'ROUND THE SUN」期の、“Toe To Toes”はこの春にリリースされた最新作「EMPEROR OF SAND」期のレコーディング・セッション時に生み出されたもの。60年代～70年代の息吹を感じさせるプログレッシヴなドラマ性、近代的な技巧も凝らされたヘヴィ・ミュージックの破壊力、エレガントなメロディやメランコリックなハーモニー、即効性の興奮を呼び覚ますリフ・ワーク、波瀾万丈の起伏に富んだ詩情豊かなアンサンブルなど、一聴しただけではとても総てを味わい尽くせない濃密で奥深い音楽世界はもちろん彼らの最近の作品群に大いに通じる極上の情趣。メンバー全員が歌えるゆえに代わるがわる鮮やかに変化しスリリングに展開する立体的なヴォーカル／コーラス、ブルーズやカントリーといったルーツ・ミュージックの素養を持ち合わせているゆえに激音の最中にも温かく紡ぎ出される郷愁など、彼ららしい珠玉の美点がふんだんに封じ込められた楽曲群は、ファンならば絶対に聴き逃し厳禁の超高品質。深山の静かな一夜を切り取ったごときジャケットの雰囲気も、全体的に寂寥感の強い収録曲と相まって、凛とした空気を感じられるこの季節に本当にぴったり。これほどの楽曲たちがアルバムへの収録を見送られていただなんて……埋もれっぱなしは人類の損失！と声を大にして言いたい。
