1. Home
  2. Rated Disc Battle
  3. UP IN ARMS

Rated Disc Battle

ディスクレビュー

エントリー

  • 2017/10/07

UP IN ARMS / BLOODCLOT

UP IN ARMS / BLOODCLOT
発売日
発売中
レーベル
Metal Blade Records
関連URL
https://www.facebook.com/bloodclotofficial/

Harley Flanagan氏が『Cro-Mags』なんてタイトルでクソかっこいいアルバムを作ってしまったし、BLOODCLOTは前作そこまでグッとこなかったから、今回はスルーすかね……なんて一瞬でも考えた小生をお許しください。このアルバムめちゃくちゃかっこいい!マジごめんなさいじゃ済まないレベル……。前作はBIOHAZARDやMERAUDER、PRO PAIN、THE SPUDMONSTERSの面々を迎えて制作されたサグいモダンなモッシュコアで、それはそれでかっこよかったんだけど、正直、別にJoseph氏がやらなくていいのにな……と思っちゃったんす。仮に前作のタイミングでBOTH WORLDSの新譜とかだったら、たぶんウワー!マジかよ!聴きてー!ってなったはずなんすけどね……。だから、今回のアルバムにそのA.J. Novello路線を期待してもいたわけですけど、完全に裏切られました。しかも良い意味でおったまげ!ストレートなパンク~ハードコア、ロックンロールで最高かっこいいです!当初はAGNOSTIC FRONTもボンデージ・パンツを着用していたという逸話を思い出させる英国パンクロック、ハードコアからの影響と、そのルーツである1960年代のロックンロール、初期BAD BRAINSに連なるNYHCの源泉、そしてJohn Joseph氏自身のCRO-MAGSのキャリアが完全に融合した、すごい作品です。ある意味非常にNYHCらしい内容。Algy Ward在籍時のTHE DAMNEDとG.B.H.とTHE MOB(NYC)が合体して、CRO-MAGS化した感じですかね。全然意味わかんなくてすいません!ラインナップも素晴らしくて、まずギターがWAR ZONE、MURPHY'S LAW、SAMHAIN~DANZIGのTodd“Youth”Schofieldっていうのが最高。一時MOTÖRHEADでPhil Campbellの代打を務めたこともある人物だけに適任過ぎる。もう1人のギタリスト、Nick Oliveriは近代ロックンロールの雄QUEENS OF THE STONE AGEの一員としてのみならず、かつてはTURBONEGROで客演したり、現在はBL'ASTのメンバーでもあるわけです。ドラマーのJoey Castilloなんて元WASTED YOUTHだし(元QUEENS OF THE STONE AGE、EAGLES OF DEATH METALでもある)!当初キボンヌだったBOTH WORLDS的ポストNYHCにはならなかったけど、A.J. Novello(LEEWAY, BOTH WORLDS)氏や金字塔『The Age Of Quarrel』(1985)期のCRO-MAGSやBAD BRAINSのポストハードコア期傑作『Quickness』(1989)で叩いていたMackie Jayson氏(THE ICEMEN)もゲスト参加していて、結果的に大満足。そしてなにより、単なるアメリカンハードコア・リヴァイヴァルではなくて、ハードコア・パンク生き証人ならではの現行サウンドになっているのが素晴らしいです。モダンに聴こえるのはZeussの手腕なのかな。

text by 久保田千史