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それぞれのメタル元年 その3 ~スラッシュメタル~ part.2

前回スラッシュメタルの元祖はMETTALICAとSLAYERと勝手に決めつけてしまいましたが、この2バンドは「速い」と言う共通項はあったものの、中身の方向性は同じベクトルを向いてはいなかった。METALLICAはデビューアルバムで血まみれのハンマーのイラストで、やはりメタルらしい強固なイメージを見せてはいたが、悪魔的な要素は皆無。一方のSLAYERは現在のブラックメタルよろしくと言わんばかりに目の周りを黒く塗り血まみれの女性と一緒に写るという写真を公開していた。

METALLICA、SLAYER、今やメタル全体を代表すると言える存在の両巨頭のメジャー進出!

METALLICA

前回スラッシュメタルの元祖はMETTALICAとSLAYERと勝手に決めつけてしまいましたが、この2バンドは「速い」と言う共通項はあったものの、中身の方向性は同じベクトルを向いてはいなかった。
METALLICAはデビューアルバムで血まみれのハンマーのイラストで、やはりメタルらしい強固なイメージを見せてはいたが、悪魔的な要素は皆無。
一方のSLAYERは現在のブラックメタルよろしくと言わんばかりに目の周りを黒く塗り血まみれの女性と一緒に写るという写真を公開していた。
そして歌詞やタイトルには「死」や「血」等が盛りだくさんで、VENOMの方法論からそのまま影響されていたような感じでもあった。
両バンド共方向性の違いはあれど、当時のアンダーグラウンド・シーンでは話題性の高いバンドであり、また両バンドとも欧米で積極的にツアーを行う事で人気は右肩上がりだった。


SLAYER

両バンド共そういった積極的な活動もあり2ndアルバム(METTALICAの「RIDE THE LIGHTNING 」、SLAYERの「HELL AWAITS」)のリリースでアンダーグラウンドでの人気を決定的なものとした。
またSALYERが「HELL AWAITS」リリース前にリリースしたシングル「HAUNTING THE CHAPEL」に収録されていた"Chemical Warfare"は当時世界一速い曲として日本でもちょっとした話題となったのを記憶している。
またMETTALICAはスピード押しの1stアルバム「KILL'EM ALL」から全体的なスピード・ダウンしたわけではないが、バラード的展開もある"Fade To Black"を収録したり曲の長さも長尺な曲が増える等メタル・バンドとしての幅を拡げ多いに評価を高めた。


METALLICA / MASTER OF PUPPETS

METALLICA / MASTER OF PUPPETS

SLAYER / REIGN IN BLOOD

SLAYER / REIGN IN BLOOD

こうしてシーンの拡大と共にアンダーグラウンドで人気/評価を大いに高めた両バンドは揃って1986年に3rdアルバムでメジャー進出を果たす事となる。
メジャーデビューによって両バンド共に人気は爆発、特にMETALLICAの「MASTER OF PUPPETS」は当時ビルボード・チャート入りする等、突如としてスター・バンドの仲間入りを果たした。
方やSLAYERの「REIGN IN BLOOD」は当時としては恐ろしいまでのスピードが全編に渡り展開され、しかも30分程度で終わるという衝撃的な内容(当時メタル界隈のアルバムは45~60分程度が一般的だった)であった。
また同年にはMEGADETHが2ndアルバム「PEACE CELLS…BUT WHO'S BUYING」でメジャーデビューを果たしている。
これらのバンド達のメジャー進出と成功により、スラッシュメタルはより大きな注目を集めるジャンルとなったのは間違いない。
話は前後するが、アメリカからはANTHRAXも登場し日本でも"Mad House"のプロモーションビデオで人気を得る等世界的にも話題を集めた。
今ではこの4バンドは「BIG 4」と呼ばれる存在である事はみなさん御存知の通り。
更に1986年以前から活動はしていたがドイツからはSODOM、DESTRUCTION、KREATOR等が、スイスからはCELTIC FROSTが、スウェーデンからはBATHORYが登場しそれまではアメリカから登場するバンドばかりが注目を集めていたが、ヨーロッパ勢の台頭により世界的にスラッシュメタルは巨大な波となっていった。 このスラッシュメタルの盛り上がりで面白いと言うか不思議に感じたのはスラッシュ・メタル以前のハードロック/ヘヴィメタルで一代ムーブメントでありスラッシュの礎ともなったNEW WAVE OF BRITISH HEAVY METAL(N.W.O.B.H.M)は勿論イギリスで起こったムーブメントであったが、VENOMの存在はあったものの、スラッシュメタルに限定した話になると当時イギリスからはシーンの話題をさらうようなバンドはほぼまったく登場してこなかった事である(ONSALUGHTぐらい?)。
それと反比例するかのようにアメリカからは前記した4バンド以外にも次々にシーンの話題となるようなバンドが登場していった。


クリフ・バートン

クリフ・バートン

METALLICAの初代ベーシスト。
彼は指弾きでのプレーが基本で初期METALLICAの速い曲も全て指弾きで演奏していた。
「MASTER OF PUPPETS」リリースに伴うヨーロッパツアー中にスウェーデンでツアーバスの事故により死去。
これはMETALLICAの初来日公演直前に起きた事故で、初来日自体が中止になるとの噂も流れたが、METALLICAは後任にJason Newstedを加入させ初来日公演を行った。
METALLICAはそれ以降音楽性を変えて行くのだが、クリフがいなくなっていなければそうはならなかったと考えているファンも少なくない。

ちなみに、個人的にこのスラッシュメタルの登場の中で当時"グッ"と来たのが、「NO POSER」の精神だった。
見た目の派手さを売りにしていたL.Aメタルへのアンチ・テーゼと言える精神だったと思うが、見た目ではなくて中身の音で勝負。
見た目は一切関係ないという感じで、ステージに上がる前に着替えるなんてダサイ!
普段着のまんまステージに上がるというそのスタイルにかなり入れこんでいったのを覚えているが、今にして思い返すとこの辺りの精神性はパンク/ハードコアからの影響もあったように感じる。

それと、これらスラッシュ系のバンドが登場するまでは、当然ながらリリースの中心は大手メジャーレーベルであって、今のように数多くのインディーレーベルは存在してなかった。
しかしスラッシュの盛り上がりに伴いそのほとんどのレコードはインディーレーベルからリリースされていたために、これらインディーレーベルの存在がどんどん大きくなっていった。
その成功例としてはSLAYERをリリースしていたMETAL BLADEを挙げることができるだろう。


text by Jumbo