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ETD Special

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歴史的検証

それぞれのメタル元年 その2 ~デス・メタル~ 番外編

ストックホルム・スタイルのスウェディッシュ・デスメタルを代表するGRAVE。
彼らがいよいよ初来日。
ENTOMBEDを筆頭とするCARNAGEやCOMECON、DISMEMBER、NIHILIST、TREBLINKA(pre TIAMAT)といったストックホルム勢をはじめ、CENTINEX、GOD MACABRE、GROTESQUE、NIRVANA 2002、UNLEASHED、VOMITORY……
などなど同時期にスタートした伝説的なスウェディッシュ・デスメタルは数あれど、スタイルを大きく変化させることなく、解散もせずにコンスタントに活動を続けているのは彼らだけと言えるでしょう。
Into the Grave

Into the Grave

Fiendish Regression

Fiendish Regression

Back from the Grave

Back from the Grave

Dominion VIII

Dominion VIII

Endless Procession Of Souls

Endless Procession Of Souls

GRAVE

ドゥーミーなスロウ・パートを交えた非ブラスト・スタイル、ダウンチューニングが効いてどっしりとしたブリブリの弦楽器隊といったスウェディッシュ・デスメタルの象徴たる部分を、秘伝のタレの如く護り続けてきたのがGRAVEなのです。
初期Century Media Recordsの看板バンドでもあった彼らは、EUエクストリーム・メタルの隠れた立役者と言うこともできます。

GRAVEは1988年、いくつかの前身バンドを経て、スウェーデン南西部のバルト海に浮かぶゴットランド島はヴェスビーにて誕生。
数作のデモを制作後にストックホルムへと移住、同地を代表するデスメタル・バンドとして頭角を現してゆきます。
初期は現在のようなデスメタリックなものではなく、SLAYERを思わせるロゴを使用しており、サウンドもスラッシュメタルの息吹を強く感じさせるものでした。
NAPALM DEATHやEXTREME NOISE TERRORのカヴァー・アートでおなじみの“Mid”ことRob Middleton率いるDEVIATED INSTINCT、PROPHECY OF DOOMのメンバーが在籍していたDEVOLUTIONとの3ウェイ・スプリット作をCentury Mediaからのアルバム・デビュー前にリリースしており、UKメタル・クラストとの交流も伺え、同じく非ブラスト・スタイルの雄であるBOLT THROWERとの共通点を感じさせます。
初期はDビートを多様する楽曲も多く、現在でもハードコア・パンク・ファンから厚く支持されているのも当然と言えば当然のことと言えるでしょう。
SAINT VITUSやCELTIC FROST、オランダの盟友ASPHYXといったカヴァー・ソングのセレクトからもルーツを垣間見ることができます。

1991年の1stアルバム『Into the Grave』以降は基本的に不変、MOTORHEAD的普遍性を保っているGRAVE。
それでもやはり少々の紆余曲折は経ているもの。
1996年の4thアルバム『Hating Life』では大胆にもMACHINE HEAD的グルーヴ・メタルを披露して往年のファンからボロクソな評価をいただき、6年の時間をかけて2002年作『Back from the Grave』で軌道を再修正。
2004年作『Fiendish Regression』では録音場所をSunlight StudioからPeter Tagtgren(EDGE OF SANITY)のAbyss Studioへと移しTomas Skogsberg印のサウンドから脱却。
2008年の8thアルバム『Dominion VIII』からは自前のスタジオStudio Soullesでの録音をスタートさせ、レーベルもRegain Recordsへと移籍するなど、様々な変革をへて現在へと至っています。

GRAVE

2012年作『Endless Procession Of Souls』では、古巣Century Mediaと再契約。
同作は、名著「Swedish Death Metal」出版によるスウェディッシュ・デスメタルへの注目度の高まりを受けてか、再び初期の荒々しさを取り戻したかの如き仕上がり。
ストックホルム・スタイルをルーツに挙げる若きデスメタル・バンドたちが狼煙を上げ、ベテラン勢もTORMENTEDのような形で呼応、Deathwish Inc.周辺をはじめとする異フィールドでももはやベーシックとなっているスウェディッシュ・デスメタル。
その魅力を最大限に抽出する生き証人GRAVEが素晴らしいタイミングで来日。
彼らのライヴ日本にいながら観ることができるというのは、まず奇跡というほかないでしょう。
往年のオールドスクール・デスメタル・ファンはもちろん、COFFINS等を通じて古き佳きサウンドを知った方、PDX周辺がお好みのパンクス、ゴアメタラーから90sデスコア以降のモッシュコア・ファンまで、全デスメタル・ファン必見の公演です!


text by 久保田千史