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ETD Special

スペシャル

ライブレポート

MAYHEM "De Mysteriia Dom Sathanas TOUR"

かの悪名高い1stアルバム「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」完全再現ライヴ
September 4 @ SHIBUYA、CLUB QUATTRO
MAYHEM

“○○周年記念”“○○th anniversary”みたいな冠付きのリリースやライヴがあちこちで見られるようになった昨今。古くからのファンは積年の愛着をもって、新しいファンは歴史の実体験を求めて、それぞれ思い思いに祝祭を楽しまれていることと思うが、去る9月上旬に行なわれたMAYHEMのアニヴァーサリー来日公演は、とりあえずひとつのステージとして実に画期的なもの、バンドの出自やリリース当時の逸話を考え合わせればほとんど伝説的とさえ言っていいほど際立ったものだった。

 改めて言うまでもなく、今回のライヴの胆は、かの悪名高い1stアルバム「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」を完全再現すること。当時のラインナップに名を連ねていたAttila Csihar(vo)、Hellhammer(ds)、Necrobutcher(ba)に、Teloch(gu)とGhul(gu)を加えた布陣で満を持して見参したバンドは、幕開きの“Funeral Fog”から幕引きの“De Mysteriis Dom Sathanas”まで、予告どおりひとつひとつ順を追ってあのアルバムの収録曲を解き放っていった。ゆえにセットリストとしては確かに“完全再現”に違いないのだが、彼ら5人が現場で紡ぎ出したアンサンブルや空気感は、あのアルバムに封じ込められているものとはまったく異なるものだったように思う。

MAYHEM

 ただただ邪悪に喚き叫ぶだけでなく、時にホーミーのような独特な発声を織り込みながら野蛮に冷酷に背徳の言葉を吐き散らしまくったAttila以下、現編成のMAYHEMが織り成すサウンドには、とてつもなく禍々しく刺々しいアルバムのそれとはまた異質の、よりディープでアンビエントな荒涼感が宿っていた。揃って修道僧のような粗末なローブをまとい、寒色系のライティングと煙の立ちこめる夜景のようなステージに居並び、黙々とひたすらにブラック・メタル・マナーの緊張感を煽り立てていく彼らのパフォーマンスのあまりの異様さがその印象を強めていたせいもあるが、それでもやはり、曲間をアブストラクトなドローンでつないだり、原曲の雰囲気をより幽玄に色付けしたりといった音楽的な深化にがとにかく強烈に耳を捕らえる。だからこそ楽曲そのものは長らく聴き馴染んだものだったにせよ、今回のライヴでの印象は新鮮で味わい深いものとなったのだ。

 あの夜、初めてMAYHEMのショウに立ち会ったファンはもちろん圧倒されたに違いないが、アルバムもライヴも経験済みだったぼくもまた改めて大いに圧倒された。アニヴァーサリー企画が人気を博している最近だからこそ、それをただノスタルジーを喚起させるだけのものに終わらせず、数十年分の経験と成熟を籠めた、2017年版の「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」として披露したところに今を生きる彼らの揺るぎなき矜持を感じた次第。公演後、誇らしい気持ちになれた濃密な時間だった。



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Photo by Teppei

text by 山口勝正