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「MAYHEM ツアー日記」by 川島未来(SIGH)

MAYHEM ツアー日記(大阪) by 川島未来(SIGH)

今回のツアーは大阪→名古屋→東京という順で行われるため、初日の今日は大阪。ノルウェーという北の国からやってくるバンドにとって、日本の夏の異常な暑さは大敵。しかし今日は暑くもなく寒くもなくという、ノルウェー人はもちろん日本人にとっても最高の天気となった。
MAYHEM ツアー日記

 あのメイヘムが再び日本にやってきた。しかも今回は、ブラック・メタル史上、いや歴史上もっとも呪われた作品『De Mysteriis dom Sathanas』の完全再現ツアーということで、ブラック・メタル・ファンならば興奮を抑えられるはずがない。今回のツアーは大阪→名古屋→東京という順で行われるため、初日の今日は大阪。ノルウェーという北の国からやってくるバンドにとって、日本の夏の異常な暑さは大敵。しかし今日は暑くもなく寒くもなくという、ノルウェー人はもちろん日本人にとっても最高の天気となった。

 まず最初に日本のDefiledが登場。Defiledはメイヘムとレーベルメイト(フランスのSeason of Mist所属)というだけでなく、過去には5週間にもわたるヨーロッパ・ツアーを共にした盟友。30分全10曲、とにかくテクニカルでブルータルなデス・メタルで、集まったブラック・メタル・ファンの度肝を抜く。その後Sighが登場。まあ今日はみなさんにご報告するようなアクシデントも起こらなかったので割愛。

 そしてついにメイヘムの登場だ。楽屋から黒いローブ姿のメンバーが続々と出てくると、それだけで恐怖を感じるほど。呪われたアルバムの完全再現にふさわしい邪悪な雰囲気満点だ。何よりもびっくりしたのが、あのネクロブッチャーもローブを着ていたこと。『De Mysteriis dom Sathanas Live』のDVDですら、一人だけ思いっきり普段着で通していたのに!何か心境の変化でもあったのだろうか。本人に確認してみようかとも思ったのだが、ネクロブッチャーって何か怖くて。もし明日以降、聞けそうだったら聞いてみようとは思っているのだけど、勇気が出るかわかりません。おどろおどろしいイントロが終わると、プレイされるのはもちろん「Funeral Fog」だ!この曲は、『De Mysteriis dom Sathanas』収録の全8曲のうち、唯一みんなで大合唱できるナンバー。まあ大合唱と言っても「フォッ!」の一言なのだが、この「フォッ!」目的で今日のライヴに参加した人も少なくないだろう。しかしこの「フォッ!」、アッティラが独特のタイム感覚を持っているせいで、タイミングを合わせるのが非常に難しい。相当みなさんタイミング合わせに苦労されているように見えたのだが、いかがだっただろう。続いてブラック・メタルを代表する永遠の名曲「Freezing Moon」。”When it’s cold, and when it’s dark, the freezing moon can obsess you!”というイントロダクションだけで鳥肌が立つ。アルバムの完全再現と言っても、淡々と曲を演奏していくのではなく、曲間にはSEが挟まれ、非常に暗く多めにスモークが焚かれたステージと相まって、儀式的な雰囲気を盛り上げていく。後半の「Life Eternal」からはローソクと頭蓋骨が置かれた祭壇が登場。アッティラの魔術的な動きが不気味さに拍車をかける。気づけばあっという間にラストのタイトル曲へ。この曲、アルバム発売当時は、アッティラのなんとも言えぬ謎のメロディが独特すぎてどう判断して良いのか困る部分もあった。しかしこれ、ライヴで見ると最高だ。もちろんアッティラのヴォーカリストとしての成長もあるのだろう。グレゴリアン・チャントを思わせるような厳かさとブラック・メタルの邪悪さが同居し、凄まじいスケールを感じさせる。まさにファースト・アルバム完全再現という特別なライヴの最後を飾るにふさわしいエンディング曲であった。

 40分ちょっとのアルバムを再現ということだったので、さすがにこれは短すぎるのではないか、もう何曲かでも追加した方が良いのでは、なんていう思いもあった。実際にデビューEPの曲をアンコールでやったケースもあるようだ。だが、最後の曲が終わった時点で、これで終わってこそという思いを強くした人も多かっただろう。『De Mysteriis dom Sathanas』という強烈な世界観を持ったアルバムを丸々プレイするということであれば、それ以外の曲は蛇足にしかならないように思う。

 ということで名古屋、東京も楽しみだ。迷っている人は絶対に見に来た方がいいですよ。


text by 川島未来(SIGH)