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Hall of Fame

第十六回殿堂入りアルバム

2017/06/13

LEVIATHAN / MASTODON

現在ではアメリカのメタル・バンドの中でも不動の人気を獲得したMASTODON。彼らの2枚目のアルバムにしてメジャー進出のきっかけとなった出世作。

LEVIATHAN / MASTODON

収録

1.Blood and Thunder (featuring Neil Fallon/CLUTCH)
2.I Am Ahab
3.Seabeast
4.Ísland
5.Iron Tusk
6.Megalodon
7.Naked Burn
8.Aqua Dementia (featuring Scott Kelly/NEUROSIS)
9.Hearts Alive
10.Joseph Merrick

MASTODONは2000年にアトランタで結成されたバンドで、それ以前にはTroy Sanders(Ba/Vo)はSOCIAL INFESTATIONというグラインドコア・バンド、Bill Kelliher(Gu)、Brann Dailor(Dr/Vo)の二人はLETHARGYというデスメタル・バンド(このバンドのGu/Voは後にBRUTAL TRUTH、NUCLEAR ASSAULT等に加入したErik Burke)、更に二人揃ってTODAY IS THE DAYに加入しアルバム「IN THE EYES OF GOD」(この作品でBillはベースを担当)に参加している。
バンド結成のきっかけはTroyとBrent Hinds(Gu/Vo)のHIGH ON FIREのライヴでの出会いだったそうである。
結成時にはEric Sanerというヴォーカリストを含む5人組だったようだが、Ericは数ヶ月で脱退し4人組となり、現在もその4人は不動のメンバーとなっている。すぐにデモテープを制作し、ピクチャー盤の7"EPをリリースした後、結成から約一年で早くもRELAPSE RECORDSと契約を交わし、まずRELAPSEからは最初にEP「LIFE'S BLOOD」をリリースし、2002年1stアルバム「REMISSION」をリリースし、同年EXTREME THE DOJOにて早くも初来日を果たした。
そして2004年2ndアルバムである本作「LEVIATHAN」をリリースする。この作品はハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」をテーマにしたコンセプト・アルバム。本作はリリース後「21世紀初頭における傑出したメタル・バンドのひとつ」(ALLMUSIC)、「彼らの世代においては最高のメタル・バンドであり、追随するものはいない」(ROLLONG STONE)等各メディアで絶賛を集め、REVOLVER、KERRANG、TERRORIZER等数多くのメタル誌で同年のベストアルバムに選出されている。
このアルバムでの評価はバンドの評価を確かなものとし、SLAYERのマネージャーでもあるRick Salesの目にとまり、彼のRick Sales Entertainmentとマネージメント契約を交わし、更にメジャーレーベルWARNERとも契約を交わし、メジャーフィールドに進出した。その後メジャーレーベルからアルバムを5枚リリースし、アルバムをリリースする度に評価を高め、今はアメリカのメタル・シーンでも不動の人気を獲得したバンドとなっている。
その人気の上昇のきっかけとなったのが本作「LEVIATHAN」である。
当時シーンでは欧米を中心に新たなメタル・シーンが動き始めていた時期で、そのきっかけはSLIPKNOTの成功やHATEBREED、KILLSWITCH ENGAGE等を中心としたメタル・コア勢の台頭だった。MASTODONはそれらの盛り上がりの中心となったバンド達とはベクトルの違う音楽性のバンドではあったが、SLAYERのマネージャーでもあるRick Salesのメネージメントと契約した事も功を奏し、SLAYERをはじめとするビッグ・バンドのオープニングを多く務め、それまでに彼らの存在を知らなかった多くの人達にアピールする事に成功し人気に拍車がかかった。

この「LEVITHAN」はプログレッシブ・メタル、スラッジ・メタルとも称されたアルバムであったが、このアルバムのベースになっているのは彼らが昔聞いて来たヘヴィメタルにあるのではないかと思っている。バンドの代表曲にもなった1曲目の"Blood And Thunder"の冒頭のリフは、最初に聞いた時には昔のヘヴィメタルを思い出させるそのあまりにもシンプルすぎるリフに驚かされた。
実際彼らは間違いなくヘヴィメタル・ファンで初来日時にはTHIN LIZZYのカヴァーを披露するなど、ヘヴィメタル愛を隠す事はない。そう言えば初来日時に当時新宿にあった海賊版ビデオショップでTHINLIZZYのビデオをもらったり、二度目の来日時には一緒に来日したCONVERGEの日本の所属レーベルであるSONNYで全バンドまとめて取材を行いCONVERGEの担当者からリリース前だったJUDAS PRIESTのロブ・ハルフォードの復帰作「ANGEL OF RETRIBUTION」のカセットをもらい、びっくりするくらい大喜びしていたことを覚えている。
だが、彼らは単なる昔のヘヴィメタルの焼き直しではなく、彼らが影響を受けて来たNEUROSISやMELVINS等の影響も上手く融合させ独自のスタイル/サウンドを構築していく事で評価を高めて行った。それらのバンド達からの影響が彼らがスラッジ・メタルとも言われる要因ではないかと思う。1stアルバム「REMISSION」の時点からすでにそういった一筋縄ではいかない独自の方向性を見せていたが、まだその時点では良い意味での分かり易さに欠けていたが、この「LEVIATAHAN」では"Blood And Thunder"のリフに代表されるシンプルな分かり易さが随所に盛り込まれ、また持ち前の流れるようなリフやメロディーの構成は更に巧みになり、バンドとしてこのアルバムで大きく飛躍したと言えるだろう。今聞き直してもバンド結成からわずか4年でこの完成度のアルバムを完成させていた事実には驚かされる。
メジャーデビュー後は作品毎に進化し最新作「EMPEROR OF THE SNAD」では、もはや他の追随を許さない域のバンドへと上り詰めた感さえある。
その域のバンドへ到達したバンドの飛躍のきっかけとなったのが本作「LEVIATAHN」であり、現在のMASTODONの成功の原点とも言える作品である。
そんな人がいるのかが疑問だが、もしまだ未聴のMASTODONのファンがいるなら、迷わず今すぐに聞く事を強くお薦めしたい。


text by Jumbo