1. Home
  2. Hall of Fame
  3. 第十三回殿堂入りアルバム

Hall of Fame

第十三回殿堂入りアルバム

2015/10/13

NECROTICISM - DESCANTING THE INSULUBRIOUS / CARCASS

このアルバムで初めてCARCASSが「グラインド+デスメタル」だという事をしっかりと認識出来た。
このアルバムは当時テープトレーダーやファンジンの世界でかなり高い評価を受けてCARCASSの名前は一気に大きなものになった印象があった。
実際世界的にもこのアルバムの影響力は大きく、アメリカからはEXHUMEDのようにそのまんまCARCASSクローンのようなバンドまで登場した。

NECROTICISM - DESCANTING THE INSULUBRIOUS / CARCASS

収録

1. INPROPAGATION
2. CORPORAL JIGSORE QUANDARY
3. SYMPOSIUM OF SICKNESS
4. PEDIGREE BUTCHERY
5. INCARNATED SOLMENT ABUSE
6. CARNEOUS CACOGGINY
7. LAVAGING EXPECTORATE OF LYSERGIDE COMPOSITION
8. FORENSIC CLINICISM/THE SANGUINE ARTICLE

今回は今年LOUDPARKにも出演するCARCASSの3rdアルバム「NECROTICISM」を選ばせていただきます。
これまた前回のSLAYER同様異論のある一枚ではないかと思います。
CARCASSの作品の中ではやや影が薄いし、初期CARCASSの傑作は2nd「SYMPHONIES OF SICKNESS」、後期CARCASSの傑作は4th「HEARTWORK」という意見が多いのも理解出来ます。
が、これは個人的な意見になりますが、この3rdアルバム「NECROTICISM」は現在のメロディック・デスメタルの原点となった一枚だと考えてます。

CARCASSはNAPALM DEATHのギタリストでもあったBillがNAPALM DEATHと平行して活動を行っていたバンドで、登場した時からファンジンやテープトレーダーには「グラインド+デスメタル」と言われていた。 当時のNAPALM DEATHはまだ完全にハードコア・シーンのバンドだったので、CARCASSはそれよりもメタル寄りな音楽性を目指してたのではないかと思われます。
しかし初期のデモ音源や1stアルバムは重さにこだわるあまりだと思うが、音がやたらとこもってしまって単純に音が悪いという印象が強かった。 それがまたアングラ・ファンにはたまらない要素にもなっていたが当時自分も音の悪さが目立ちすぎて何を演っているのか理解出来ない感じで正直1stアルバム登場時にはそれほどはまらなかった。 自分にテープトレード文化やグラインドコアを教えてくれたDEATHRAH MAYHEM zine/MESSIAH DEATHの小久保君なんかはCARCASSを登場時から大絶賛していたし、実際に海外のファンジンでは高い評価を集めていた。 あと、この1stアルバムは死体写真をコラージュしたジャケットがかなり衝撃的だった。

1stアルバムの翌年2ndアルバム「SYMPHONIES OF SICKNESS」をリリース。
音質も向上し、曲数も1stの22曲から10曲となり、自分はこのアルバムで初めてCARCASSが「グラインド+デスメタル」だという事をしっかりと認識出来た。 このアルバムは当時テープトレーダーやファンジンの世界でかなり高い評価を受けてCARCASSの名前は一気に大きなものになった印象があった。 実際世界的にもこのアルバムの影響力は大きく、アメリカからはEXHUMEDのようにそのまんまCARCASSクローンのようなバンドまで登場した。

Bill(Gu)はこの2ndアルバム「SYMPHONIES OF SICKNESS」と同じ年にリリースされたNAPALM DEATHのシングル「MENTALLY MURDERED」を最後にNAPALM DEATHを脱退し、CARCASSの活動に専念。 そして2ndアルバム「SYMPHONIES OF SICKNESS」の評価の高さで、CARCASSの3rdアルバムへの期待が高まる中、CARCASSは元CARNAGEのMichael Amott(Gu)を加えツイン・ギター体制となった。
今ではエクストリームメタルを代表するミュージシャンの一人であるMichael AmottはCARCASS加入以前にはCARNAGEというバンドでデビューしておりゴリゴリのデスメタルをやっていた。 このCARNAGEの唯一のアルバム「DARK RECOLLECTION」をリリースしていたレーベルはEARACHE傘下のNECROSISで、このレーベルはBillがプロデュースしていたレーベルだった。 こういう事実からもBillは以前からMichael Amottには注目をしていたはずである。

そしてCARCASSは1991年にこの3rdアルバム「NECROTICISM」をリリース。
前作から更に曲は長くなり(6分以上の曲が3曲、7分以上の曲を1曲収録)収録曲も2ndの10曲から更に減り8曲収録となった。 と同時に格段に音質が向上。 プロデュースは2ndも3rdも同じくColin Richardsonによるものだが、そうとは思えない程に音質が向上している。
これは個人的な考えでは恐らく2ndアルバムで評価を高めセールス面でも成功した事で、3rdアルバムの制作には前作よりもかなり大きな予算が確保出来たからではないかと考えている。

そしてこのアルバムでCARCASSは大胆なまでにメロディアスなギターソロを導入した。
それまではデスメタル以前のメタルに関してはデス/グラインドのファンは勿論ミュージシャンの中にも「ださい」という意識が強く、そういった要素を排除する傾向が強かった。 それだけにこのCARCASSのメロディアスなギターソロの導入はかなり大胆な手法であり、一部のファンからは反感を買ったのもまた事実。 しかしながら、この手法はそれまでデスメタルを敬遠していたメタルファンからも注目を集める事となり、CARCASSの存在は過去最高に大きくなった。 そして次の4thアルバム「HEARTWORK」ではその手法は更に進化し、メタル界隈でも高い評価を集め、初来日を果たした。

完成度と言う点では、やはり4thアルバム「HEARTWORK」の方が上回ると自分も思いますが、そのメロディアスなスタイルの最初の完成系がこの3rdアルバム「NECROTICISM」にあると思います。 その後、CARCASSを脱退したMichael AmottはARCH ENEMYを結成。そしてARCH ENEMYと同じくスウェーデンからはIN FLAMES、DARK TRANQUILITY等が登場しメロディック・デスメタルが一つの勢力を作り上げて行くこととなった。

今思い返してもMichael Amottの加入がCARCASSの変化の大きな要因となっていたと思われる。
そして後のメロディックデスメタル勢力の大きな要因ともなったARCH ENEMYの登場にも勿論Michael Amottが関わっていたのだから、そういう意味でもMichael Amottがこのメロディックデスメタルの先駆者という考え方も出来るはず。


text by Jumbo