結成は1992年という事で、すでにその活動歴は23年となりベテランと言えるキャリアを誇るMACHINE HEAD。その活動歴故に名盤と呼べる作品は複数存在すると思うが、なんと言っても彼らのデビュー作「BURN MY EYES」の登場は衝撃的だった。と言うかもっと極端な言い方をしてしまうと、このアルバムと言うよりも1曲目に収録されてる"Davidian"がま~本当に強烈だった。
1992年と言えば、当時自分はデスメタルにどっぷりな時期で同年にリリースされたあのSLAYERの「DIVINE INTERVENTION」ですら、当時はピンと来ないと言うか、はまらなかった。にも関わらずこのMACHINE HEADの"Davidian"はSLAYERを軽く超える衝撃だった事を記憶している。
EXODUSやTESTAMENTを中心に80年代を席巻したベイ・エリア・スラッシュ。その中で隠れた名バンドとも言われるVIO-LENCE。
そのVIO-LENCEのギタリストだったRob FlynnがVIO-LENCE脱退後、1992年に結成したのがこのMACHINE HEAD。結成時のメンバーはRob Flynn(Vo/Gu)、Logan Mader(Gu)、Adam Duce(Ba)、Tony Costanza(Dr)というラインナップ。
そして1993年に制作されたデモテープがROADRUNNER RECORDSの手には渡り、MACHINE HEADはROADRUNNERと契約。
そしてColin Richadsonをプロデューサーに迎え制作(ちなみに本作のエンジニアを担当したのは後に日本のUNITEDのプロデュースも担当したVincent Wonjino)されたのが本作「BURN MY EYES」である。
Colin Richadsonは現在ではメタル・シーンの名プロデューサーとして知られるが、MACHINE HEADを手掛ける前まではCARCASS等のデスメタル系を多く手掛けていた。
この「BURN MY EYES」と彼が手掛けたFEAR FACTORYの2ndアルバム「DEMANUFACTURE」でのバズーカーのような強烈なバス・ドラ音はTerry Dateが手掛けたPANTERAの「VULGAR DISPLAY OF POWER」と並んで後続のバンドに大きな影響を与えた。
アルバム制作前にはドラマーTony Costanzaが脱退し、後任として加入し、このアルバムでドラムを担当したのがChris Kontos。
このChris KontosはMACHINE HEAD加入以前の80年代、世界的なスラッシュ・ムーブメントと共に多いに盛り上がったクロスオーヴァー・ムーヴメントの中でサンフランシスコから登場し、イラストレーターとして著名なPUSHEADの当時のレーベルPUSMORTからアルバム「AMERICAN PARANOIA」をリリースし、日本でも話題となった名バンド、ATTITUDE ADJUSTMENTのドラマーだった人物。
90年代前半は80年代を席巻したスラッシュ・ムーブメントも完全に下火と言うか終わったと世間的には見られていた時期で、1992年にリリースされたPANTERAの「VULGAR DISPLAY OF POWER」の成功でメタル界隈にもグルーブの波が押し寄せて来ていた時期。
このPANTERAの提唱したグルーブはメタル以外へも波及し、MACHINE HEADと同じ年にデビューしたKORNも当時はこのグルーブ系と言われていた。
SLAYERのように80年代から不変を貫いた存在はいたが、SLAYER以外では90年代前半スラッシュ・スタイルをそのまま継続していたバンドは皆無だったし、スラッシュ系バンド達は新たな生き残り作というか新たな道筋を模索していた時代だったと言える。
そんな中で登場したこのMACHINE HEADは言うなれば「スラッシュ+グルーブ」という、どちらのファンも納得させられる巧さがあった。
この「BURN MY EYES」はビデオ・クリップ"Davidian"のカッコ良さも手伝ってリリース後すぐさま世界的に大きな話題となった。勿論その波は日本へも押し寄せ、アルバムに伴うツアーではSLAYERのオープニングを務め話題を集めた後に早速初来日を果たした(共演はUNITED)。
このデビューアルバムによってすぐさまシーンの重要バンドとしての地位を固めたMACHINE HEADのその後の活躍はファンの皆様御存知の通り。
現在はオリジナルメンバーはRobb Flynnだけになってしまったが、どう考えたって彼こそがMACHINE HEADなのだから、当然バンドはまだまだ健在だ。
7月には2時間を超えるセット・リストでの5年振りの来日も決定し、健在振りを我々に見せつけてくれるだろうし、当然"Davidian"も演奏してくれることだろう(やっぱりライヴの最後に演奏されるのかな?)。