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Hall of Fame

第八回殿堂入りアルバム

2013/03/15

CAUSE OF DEATH / OBITUARY

やや出遅れたマイナスイメージをOBITUARYの「CAUSE OF DEATH」は払拭した感さえあった。
シーンの最初の盛り上がりの時期とうまくリンクしたとも言えるが、EARACHE以外からもクオリティーの高いバンド/アルバムが登場した事でデスメタルの初期の盛り上がりを更に大きなものとしたと言えると思う。

CAUSE OF DEATH / OBITUARY

収録

1. Infected
2. Body Bag
3. Chopped In Half
4. Circle Of The Tyrants
5. Dying
6. Find The Arise
7. Cause Of Death
8. Memories Remain
9. Turned Inside Out
(現在は1stアルバム「SLOWLY WE ROT」とカップリングになったお得なCDも発売中)

OBITUARYの2ndアルバムにして個人的には出世作と思っている「CAUSE OF DEATH」。
リリースされた1990年にはすでにEARACHE勢もデビューを果たしてデスメタルがにわかに盛り上がり始めた時期。
1989年に1stアルバム「SLOWLEY WE ROT」でデビューしていたOBITUARYだったが正直まだその時はあまり大きな話題になるような風潮ではなかったように思う。
個人的にマニアックな自慢話になってしまうけど、当時テープトレーダーだった自分はOBITUARYの前身であるXECUTIONERの存在を知っていたし好きなバンドだったが、1stアルバム「SLOWLEY WE ROT」がリリースされた時点ではOBITUARYがXECUTIONERの改名したバンドである事にまったく気づいていなかった。
気がついたのはこの2ndアルバム「CAUSE OF DEATH」の中にXECUTIONERのデモテープに収録されていた"Find The Arise"を聴いた時だった。XECUTIONERは同じフロリダのDEATH、MASSACRE等に比べるとアンダーグラウンドの中でもまた更にマニアックな存在だったと記憶している。
当時デス/グラインドのシーンをリードしていた存在のレーベルはEARACHEであり、このアルバムのリリースしたROADRUNNERはデス/グラインドにのみ関して言えばやや遅れて手を出した感が否めかかった。
そう考えるとフロリダのデスメタル・シーンではやや出遅れて登場したXECUTIONER/OBITUARYがROADRUNNERと契約したのも自然な流れだったように今になって思える。
しかし、そういったやや出遅れたマイナスイメージをOBITUARYの「CAUSE OF DEATH」は払拭した感さえあった。
シーンの最初の盛り上がりの時期とうまくリンクしたとも言えるが、EARACHE以外からもクオリティーの高いバンド/アルバムが登場した事でデスメタルの初期の盛り上がりを更に大きなものとしたと言えると思う。

このアルバムはDEATH等にも参加していたデスメタルシーンの[渡り鳥]ギタリスト、James Murphyが参加しており、ギターソロもかなり大きくフューチャーされているアルバムだ。
グラインドコアの登場もあり、デスメタルもまたどんどん速さを極めていった時代だったが、このOBITUARYはDEATH同様にブラストビートを基本として使用しない。
これは勝手な推測だが、DEATH、MASSACRE等が始動し始めた時代からこれらのシーンに関わっていたOBITUARYにはブラストビートは自分達が音楽創作を始めた後に登場したスタイルで、それを取り入れる事に違和感を覚えていたんじゃないかと勝手に推測している。
この「CAUSE OF DEATH」でも勿論ブラストビートは使用されておらず、むしろ全体的にはデスメタルとしても「速い」アルバムとは言えない内容である。
しかしそのミッドテンポ中心の楽曲はOBITUARYの特徴とも言える引きづり廻すようなサウンドを形成するにあたって実に的を得た構成と言える。更にJohn Turdyの絞り出すようなヴォーカルスタイルもまたその特徴を更に印象づけるものだった。
当時すでにMORBID ANGEL等のブラストビートを多様するデスメタルバンドも数多くデビューを果たしており、それ故にこのミッドテンポ中心の「CAUSE OF DEATH」は当時のシーンの中では異彩を放つアルバムだったと言えるだろう。

このアルバムで商業的な成功も得たOBITUARYはその後、3rdアルバム「THE END COMPLETE」、4thアルバム「WORLD DEMISE」をリリースする。
特に4thアルバム「WORLD DEMISE」ではデスメタルにしては珍しく環境問題を題材にした内容で、そこにどういった心境の変化や思いが込められていたのかは分からないのだが、結果的にはこういった手法はノルウェーのブラックメタル勢から格好の標的とされてしまった。
実際「WORLD DEMISE」にはサウンド面でポップになったとかはなく、大幅は変更があったわけではないが、EVILな要素はかなり薄らいだと言える。
この当時商業的にも成功をおさめるようになってきたデスメタル勢は、それ以前のスラッシュ的なものを軽視するような風潮もあったように記憶している。
スラッシュメタルの復興がその基盤であったノルウェーのブラックメタル勢からはそういう意味でもこのOBITUARYは格好の標的とされていた。が、逆に言えばその存在が無視できないほどに当時のOBITUARYはシーンの先頭に立っていたとも言えるだろうし、事実当時からデスメタル・シーンを代表するバンドと言える存在であった。

「THE END COMPLETE」リリースに伴うツアーで1992年に初来日公演を行う。
この来日公演は日本において初めてのデスメタル・バンドの来日公演でもあった。
その後、1997年に解散するも2003年には早くも再結成を果たし、2005年に「FROZEN IN TIME」、2007年には「XECUTIONER'S RETURN」、2009年には「DARKEST DAY」とアルバムをコンスタントにリリースし順調な活動を継続している。
2008年には11年振り2度目の来日として「LOUD PARK」に出演を果たしている。
そして今年4月に5年振り3度目の来日公演を行う。
その来日公演後にはニューアルバムの制作に入るというからその新作が今から楽しみである。


text by Jumbo