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Hall of Fame

第四回殿堂入りアルバム

2009/12/01

JANE DOE / CONVERGE

CONVERGEが2001年にリリースしたこの「JANE DOE」は傑作という言葉のよく似合うアルバムだ。とにかく文句のつけようがないし、「もっとこうすればいいのに」とか「ここだけが解消されればもっといいのに」なんて意見をまったく寄せ付けない作品と言っていいだろう。ちょうどリリースされた2001年は日本ではまだまったくだったが、欧米ではデスメタル以降のメタルの新しいエクストリームなスタイル/音のバンド達がシーンに浮上してきた時期である。

JANE DOE / CONVERGE

収録

1. Concubine
2. Fault and Fracture
3. Distance and Meaning
4. Hell to Pay
5. Homewrecker
6. Broken Vow
7. Bitter and Then Some
8. Heaven in Her Arms
9. Phoenix in Flight
10. Phoenix in Flames
11. Thaw
12. Jane Doe

JANE DOE......これは警察等で使われている用語のようで「身元不明の女性死体」を意味しています(日本の刑事ドラマ風に言えばホトケさん?)。ちなみに男性の身元不明死体はJOHN DOEとなるそうです。こうして訳してみると、あらためてこの素晴らしいジャケットのアートワークが、タイトルをそのまま現していたことに気がつきます。

CONVERGEが2001年にリリースしたこの「JANE DOE」は傑作という言葉のよく似合うアルバムだ。とにかく文句のつけようがないし、「もっとこうすればいいのに」とか「ここだけが解消されればもっといいのに」なんて意見をまったく寄せ付けない作品と言っていいだろう。
ちょうどリリースされた2001年は日本ではまだまったくだったが、欧米ではデスメタル以降のメタルの新しいエクストリームなスタイル/音のバンド達がシーンに浮上してきた時期である。
その中で、CONVERGEは元々スタート地点としてはハードコア・シーンにどっぷりだったとは言え、当初からそのサウンドにはメタルがあちこちに色濃く滲み出していた。 この時期浮上して来たHATEBREED、KILLSWITCH ENGAGE、SHADOWS FALL、DILLINGER ESCAPE PLAN等も同じようにメタル、ハードコアどちらも通過し、どちらの要素も持ち合わせていた。それ故にこのあたりのバンドを総称して「メタルコア」なる言葉も産まれて行きた。
その中でも、このCONVERGEとDILLINGER ESCAPE PLANに関しては、KILLSWITCHやSHADOWS FALLに比べてハードコア寄りな姿勢であり、更にその中でもサウンドは“カオティック”と言われる混沌としたものであった。更にKILLSWITCHやSHADOWS FALLあたりはハードコアとメタルの両性とは言え、それ以外の要素や雰囲気はあまり持ち合わせていないのだが、CONVERGEはハードコアとメタルは当然ながら、「JANE DOE」の前作「WHEN FOREVE COMES CRASHING」のプロデュースをTODAY IS THE DAYのSteve Austinが担当していたり、とオルタナ、ノイズといったところまで音楽的に許容範囲が広いのが特徴である。
その結晶とも言えるこの「JANE DOE」は現在シーンでも指折りのプロデューサー/レコーディングエンジニアでもあるギターのKurt Ballou(最近ではDOOMRIDERS、RISE AND FALL、MODER LIFE IS WAR、DISFER、GENGHIS TRON、TORCH、ANIMOCITY等を手掛ける)が初めてプロデュースを担当したCONVERGEのアルバムである。メンバ-自らがプロデューサーであるこの作品のサウンドプロダクションは完璧と言わざるを得ない。
更に現ドラマーのBen Kollerの参加した初めてのアルバムである本作は、このBen Kollerの加入により、それまで試みてはいたが完成までは辿り着けなかったアイディアを完成まで導いたと言えるだろう。 特にグラインドコアばりのスピード感はそれまでのアルバムでも試みていたことだが、どうしても当時のドラマーの力量ではそれが実現できていなかった。しかし彼の加入はそれを実現したことによりCONVERGEは確実に音楽的な幅を広げたと言えるだろう。
このBen Kollerほど多彩でセンス溢れるドラマーはこのメタル、ハードコア・シーンでなかなか見つけることは出来ない。

いきなりグラインドコアばりの猛烈なスピード・ナンバー"Concubine"で幕分けるこのアルバムは、最後まで息つく暇のない興奮の連続と共に、単なる凶暴イメージでは終わらせられないアルバムである。アルバムの最後を飾るタイトル曲は10分を超える大作と言える曲であり、エモーショナルな感性まで見せ付けてくれる。
このアルバムはこの時点でのバンドを総括するような内容であり、一つの完成形と言うに相応しい内容である。

彼等はこのアルバムを最後にEQUAL VISIONからEPITAPHへと移籍するのだが、この移籍には驚いた人も多いだろう。日本ではメロコアのレーベルというイメージの強すぎるEPITAPHであるが、本国では巨大なインディー・パンク・レーベルという認識が強い。そのEPITAPHを選ぶあたりにも彼等のパンク/ハードコアの精神を感じずにはいられない。
そしてEPITAPGから「YOU, FAIL ME」、「NO HEROS」という2枚のアルバムをリリースし、更に広範囲で知名度を上げることになる。しかしながら個人的にこの2枚のアルバムが「JANE DOE」を超えているかと問われると、そうだとは言い切れない。勿論どちらも素晴らしい作品であることは疑いようもない。しかし「JANE DOE」を超えているとは思えない。そういう意味でこの「JANE DOE」はSLAYERで言うところの「REIGN IN BLOOD」のような存在の作品だと言えるだろう。SLAYERも「REIGN IN BLOOD」以降のアルバムはどれも素晴らしいが、どうしても「REIGN IN BLOOD」超えていると認識される作品は存在しない。それと同じようにCONVERGEの「JANE DOE」はこれからもこれを超える作品を作り上げるのは困難なのだと思う。こういう意味でもこのアルバムは殿堂入りさせるべき作品であり、その凄みは今後も色褪せることのない名盤ということである!


text by Jumbo