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Hall of Fame

第三回殿堂入りアルバム

2009/05/01

EXTREME CONDITIONS DEMAND EXTREME RESPONSES / BRUTAL TRUTH

当時NAPALM DEATHやTERRORIZERの登場によりその速度は完璧に限界へ行き着いたと確信していた。そんな時に登場したこのアルバムは駆使しているリズムはNAPALM DEATHやTERRORIZERと同じブラスト・ビートであることは間違いないのだが、当時どのバンドよりも明らかに速かったのだから腰を抜かしたどころの騒ぎではなかった。極端なこと言ってしまえば、それまでに聞いたことのない、有り得ないスピードのオンパレードだったわけだ。

EXTREME CONDITIONS DEMAND EXTREME RESPONSES / BRUTAL TRUTH

収録

1. P.S.P.I.
2. Birth of Ignorance
3. Stench of Profit
4. Ill-Neglect
5. Denial of Existence
6. Regression-Progression
7. Collateral Damage
8. Time
9. Walking Corpse
10. Monetary Gain
11. Wilt
12. H.O.P.E.
13. Blockhead
14. Anti-Homophobe
15. Unjust Compromise

ほんと言うとBRUTAL TRUTHのアルバムは全て微妙に音楽性が違うし、全アルバムが殿堂入りさせて然るべき傑作なのですが、今回は彼等の記念すべき1stアルバム「EXTREME CONDITIONS DEMANDS EXTREME RESPONSES」を選ばせていただきます。

BRUTAL TRUTH
BRUTAL TRUTH

ANTHRAX、S.O.D、NUCLEAR ASSAULTと華々しい経歴を持ちエクストリーム・ミュージックの生き証人とも言えるダン・リルカ(Ba)。 彼がこのBRUTAL TRUTHを結成したのが今から19年も遡る1990年のこと。
当初はNUCLAR ASSAULTと平行して活動するプロジェクトで、ヴォーカルはダンが兼任するトリオとして活動を開始(このメンツでデモテープを制作)。
当時、常にエクストリームな音楽への偏愛に溢れるダンは、自らがプレイしていたスラッシュ/ハードコアよりも更にエクストリームであり更に速いグラインドコア/デスメタルを意識するようになったのは自然な流れと言えるだろう。 実際にBRUTAL TRUTH始動前にはEXTRA HOT SAUCEというグラインドコアにも通じるハードコア・バンドに参加(なんとこのバンドでダンはドラムを担当している)していた。
1990年の時点ですでにNAPALM DEATH、CARCASS、TERRORIZER、MORBID ANGEL、ENTOMBED等がアルバムデビューを飾り、当時の日本ではまだまだごく一部のマニアの間だけの人気だったが、欧米ではすでに衰退し初めていたスラッシュメタルに代わり、デスメタル/グラインドコアが新たなムーブメントとして大きく盛り上がり初めていた時期である。
それらのシーン/バンド達から大いに刺激を受けたダンは結局はNUCLAR ASSAULTを正式に脱退し、BRUTAL TRUTHをプロジェクトではなくフル・タイムで活動する正式なバンドへと押し上げた。そして現ヴォーカリストでもあるケヴィン・シャープが加入し、4人組の体制を整え活動を本格化。そして各レーベルの争奪戦の末に彼等は当時デスメタル/グラインドコアの仕掛人であり、一大帝国を形成していたEARACHEと契約したこともまた自然な流れであったと言えるだろう。
そして1992年に1stアルバム「EXTREME CONDITIONS DEMANDS EXTREME RESPONSES」が遂にリリースされる。現在は廃盤だが当時TOY'S FACTORYからリリースされた日本盤の帯にはこう書かれている「過激に応じ、限界を突破せよ!」(ちなみに邦題は「激昂たれ!」)。当時はなんか、ださいな~なんて思っていたけど、今になって見直してみるとこの文章は見事なまでにこのアルバムの内容を要約しているように思う。そう、このアルバムはまさしく限界を突破してしまった歴史的なアルバムなのだ! 今現在でも人力による最高速リズムはブラスト・ビートであると信じている私ですが、当時NAPALM DEATHやTERRORIZERの登場によりその速度は完璧に限界へ行き着いたと確信していた。そんな時に登場したこのアルバムは駆使しているリズムはNAPALM DEATHやTERRORIZERと同じブラスト・ビートであることは間違いないのだが、当時どのバンドよりも明らかに速かったのだから腰を抜かしたどころの騒ぎではなかった。極端なこと言ってしまえば、それまでに聞いたことのない、有り得ないスピードのオンパレードだったわけだ。実際当時日本でグラインドコアをやっていた多くのドラマーがこのアルバムのブラスト・ビートを再現するのは無理だと言い切っていたのを今でもハッキリと覚えている。

このアルバムの登場から18年が経過し、このアルバムよりも高速のブラスト・ビートを駆使するバンドは今や数多く存在しているのだが、もしもこのアルバムが登場していなければ今のブラスト・ビートのスピードがここまで上がっていたのかは疑問だ。当時ほとんどのデス/グラインド・バンド達がこのアルバムのスピードを超えることを目標にしていたのは明白な事実であり、更に上を目指し、更に速さを追求するが故に現在まで辿り着いている。そう考えればこの「EXTREME CONDITIONS DEMANDS EXTREME RESPONSES」は、すでに登場時に究極であったグラインドコアのレベルを押し上げたと言える作品なのである。
また特筆すべきは、この「EXTREME CONDITIONS DEMANDS EXTREME RESPONSES」が彼等のアルバムの中で最もデスメタル成分の強いアルバムであること。 それだけに彼等の作品の中で最も整合感があり、また最もヘヴィなアルバムとも言える。これによりリリースされた当初はBRUTAL TRUTHをデスメタルとして認識していた人も多い。
更に"Birth of Ignorance"、“Stench of Prophet"、“I'll Neglect"、"Walking Corpse"等現在も彼等のライヴでは欠かす事の出来ない名曲が目白押しだ。

と、とにかく衝撃的と言うに相応しいアルバムで登場したBRUTAL TRUTHは「元NUCLEAR ASSAULTのダン・リルカのニューバンド」としてリリース前から話題を集めていたこともあり、BRUTAL TRUTHはこのアルバムのリリースにより一瞬にしてデス/グラインドコア・シーンのトップ集団の仲間入りをしてしまうのである。 過激であり、エクストリームであることが絶対条件のこのシーンの中でもBRUTAL TRUTHは群を抜いた存在であったことは間違いない。それだけシーンに与えた影響、反響は絶大だったのだ! 

BRUTAL TRUTH

しかし、この1stアルバム・リリース後の初来日公演直後に、この猛烈スピードを体現していたドラムのスコット・ルイスが脱退してしまう。彼はその後、EXIT-13やMALFORMED EARTHBORN(インダストリアル・ノイズ・プロジェクト/NAPALM DEATHのShaneも参加)等でダン・リルカとは行動を共にしていたが、現在では彼の名前はほとんど聞かれなくなってしまった(一節ではKKKに入ったとも言われている)。
スコットの脱退はバンドに大きな影響を及ぼすと思われたが、後任には現在もドラムを務めるリッチ・ホークが加入し、レベル・ダウンすることはまったくなかった。それどころか、こちらも名盤と呼ぶに相応しい2ndアルバム「NEED TO CONTROL」、3rdアルバム「SOUNDS OF ANIMAL KINGDOM」をリリース(その途中に数々のシングル、スプリット作もリリース)。リッチ・ホークの加入によりBRUTAL TRUTHを更に進化を見せるのである。
3度の来日公演も行い、日本での人気も高かったが、1998年に突如として解散を発表し、唐突にシーンからその姿を消してしまう。

が、再結成もまた唐突だった。2007年にハリケーン・カトリーナの被害にあった盟友EYEHATEGODを救済する目的で制作されたEYEHATEGODのトリビュートアルバムへの参加要請が舞い込み、彼等はこれを快諾。この時点ではバンドを再結成させる意思は固まってはいなかったが、このトリビュートアルバムへの参加により、久しぶりにBRUTAL TRUTHとしてレコーディングを行い、この時のいい雰囲気がバンドを再結成へと向かわせたのである。 そして再結成後一発目となる通算4度目の来日公演を2007年4月、EXTRME THE DOJOへの参加という形(共演はCRYPTOPSY、VADER)で行い健在を存分にアピール。この来日公演ではメンバーのほとんどが40歳を超える年齢ながらまったく衰え知らずの凄みを見せ付けてくれた。
そして今年遂に12年ぶりとなるニューアルバム「EVOLUTION THROGH REVOLUTION」をドロップしたばかりである。 そのニューアルバムを含めて4枚のフル・アルバムをリリースしているBRUTAL TRUTHであるが、最初にも書いたが全作品殿堂入りさせて当たり前の傑作なのだ。
3rd、4thのような剥き出しのハードコア性が強いアルバムも「EXTREME CONDITIONS DEMANDS EXTREME RESPONSES」とはまた違う魅力に満ち溢れているのだが、やはりこのアルバムはいつまでも手元に置いておきたいグラインドコアを代表する永久不滅の名盤なのである。


text by Jumbo