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SPEAK OFF THE CUFF !

コラム

馬の耳に念仏

第10回 パンクはパンク

先ずは、パンクについてとことん書いてみよう。
何回になるのか見当もつかないけど、気楽にスタートしよう。
途中で寄道してもいいでしょう。
バンドを紹介していく中で、”こんなのパンク?”と思われるようなものも出て来るでしょうが、何でもありのごった煮状態(CHAOS)で突っ走りましょう。

2013年になった。
2000年頃からロックを聴き始めた人も、25歳近くになっているんだろうな。
毎年、新しいロックファンが登場して来るんだろうな。

嬉しいことじゃないか。

モッシュやクラウド・サーフが当たり前の人達が増えているだなんて、考えただけでワクワクするよ。
夏フェスが当たり前の世代がちょっぴり羨ましいな。
きっと、やりたいことが山のようにあるんだろうな。

私がやってみたいことの中に、「パンク全般を考えること」と「日本のインディーズ・シーン総括(東京ロッカーズ後)」があります。
いずれも、漠然とした思いなのですが、この二つを進めて行くには、様々な調べものや、人に訊いたりする必要が出て来ると思います。
パンクって言われるものが出て来てから、かなり時間が経っているのにも関らず、未だに音楽のメインストリームの一つとして存在していることが不思議きわまりないのです。
なぜならば、1970年代にパンクが出て来た時、すぐに廃れる(一過性の)ブームにすぎないと思われていたからです。
それだけに、”パンクは死んでいない”と、次の世代が出て来ることが嬉しく心強いです。
以前、DOLL誌別冊の『パンク天国』の1~4号で、英・米・日のパンク・ディスクを取り上げると同時に、パンクの考えや楽しみ方を、リスナーの立場から紹介しましたが、もう少し分かり易く出来る手段は無いものかと考えあぐねるところです。
日本には、地域毎に小さいながらも確実にシーンがあったことを知っているのですが、総てに関っていないため分からないことも多いです。
どのようなバンドが居たのか、どのような音源が出ていたのか、まだまだ知らないことばかりです。
幸いなことに当事者に連絡を取れる場合も多いので、そろそろ取り掛かる時期かな、とも考えています。
もしこのコラムを見て、”教えてやるよ”という人は、是非とも連絡頂きたいです。お願いします。

いきなり二つのことに手をつけても、両方とも中途半端になるのはいやなので、先ずは、パンクについてとことん書いてみよう。
何回になるのか見当もつかないけど、気楽にスタートしよう。
途中で寄道してもいいでしょう。
バンドを紹介していく中で、”こんなのパンク?”と思われるようなものも出て来るでしょうが、何でもありのごった煮状態(CHAOS)で突っ走りましょう。

どうやって、パンクを知ったのか?

The Fugs / Golden Filth

The Fugs / Golden Filth

The Fugs

The Fugs

インテリ臭ムンムン

The Fugs

これもThe Fugs

ロック!でしょ。

どうやって、パンクを知ったのか?
正直なところ、覚えていません。

自分のレコード購入歴を見ていくと、Rory Gallagher、Jethro Tull、Colosseum、Humble Pieといったブルース・ロック(=ハード・ロック)やYes、Genesis等のプログレを中心にイギリスもの聴いていた時期に、何故かニューヨークのロックを聴こうと思って手に入れたレコードがThe Fugs / Golden Filth (Alive At The Filmore East)でした。
今なら”もっと他にあるだろう!”と突っ込みを入れるところですが、知識が無いから、雑誌で偶然知ったバンドを買ったわけです(それにしても、キワモノのアルバムに少ない小遣いを注ぎ込んだ自分に驚きます)。

このアルバムを入手したことは、後の私の音楽嗜好に影響を与えていると思います。
何たって、クレジットに"Ed Sanders:Punk"ってありますから。
その上、Published by Heavy Metal Music Inc.ときています。
不思議な出合いが、ここからスタートしていたみたいです。

1968年6月1日にフィルモア・イーストでライヴ・レコーディングされたこのレコード、The Fugs/Golden Filth、結構イケルんです。
The Fugsの他のアルバムで聴ける、フォーク系かつ実験的な音楽ではなく、タイトなロックをやっています。
ライブアルバムということもあり、聴き易い。これは、初めて聴く人間にとっては大きなポイントです。
ギターとリズム隊がハード・ロックばかり聴いていた耳にも馴染むんです。グワン・グワンと唸るギターの音なんて、ガレージバンドそのものですが、簡潔な音は明らかに後のニューヨーク・アンダーグラウンドにも繋がっていると思います。
詩人Ed Sandersの歌い方も、音程を保つことよりも、ダイレクトに伝わる表現方法に重きを置いていて、コメディタッチなところもあります。
このように、一枚のアルバムの中に、いま聴いても楽しめる要素が混じりあっている作品です。
そして最大の魅力は、現在に通ずる”パンク・ロック”の原型がきれいに発揮されています。
上に書いたように、”タイトなリズム、簡潔なギターソロ、表現にこだわった個性的なヴォーカル”、まさにパンク・ロックそのものです。
直後のRAMONESやTalking HeadsだけではなくThe StrokesやVampire Weekendまで、遺伝しているのではないかと思われます。

このアルバムを入手した1975年頃、ニューヨークでは新しい動きが始まっていました。
そう、一般的なイメージの”パンク”です。

実はこの当時、Blue Oyster CultやNew York Dollsは日本でも人気がありました。
いまとなっては、かたやHeavy Metalの元祖、もう片方はパンクの元祖とされていますが、私は”第三世代”ロックのバンドとして同じ感覚で接していました。
そんな時に、ミュージック・ライフの小さな記事で、Patti SmithやTelevisionの存在を知ったのです。
Patti Smithの声を初めて聴いたのは、Blue Oyster Cultの2枚組ライブアルバム『地獄の咆哮(On Your Feet Or On Your Knees)』の「Born To Be Wild」冒頭部です。
叫び、アジテーションする。
”Wow WowWow Wow Wow Woooow , On Your Feet Or On Your Knees, Here's The Amazing , Blue Oyster Cult !"
たったこれだけで、インパクト十分。

The Fugs

The Fugs

1966年頃のライブ風景

若さと躍動感に満ちあふれた声に打ちのめされたものです。何しろ、声がひたすら格好良かった。
日本盤で買ったから、岡田英明さんの解説書と歌詞の日本語訳を何度も読み返し、全く知らないニューヨークの都市的なロックに憧れを抱いていました。
また、同時期にLou Reed 『Live』を手に入れ、2枚のライブアルバムを交互に狂ったように聴いていました。

いま、ロックの歴史を見ていくと、パンクがニューヨークで登場する直前に、直接・間接的に影響を与えていたプロト・パンクを、ほぼ同時期に聴いていたことになります。
もっとも、間章(あいだ・あきら)のロックエッセイ『僕はランチにでかける』に収められた「パンク・ロック論のための覚書」(”ZOO"1977年1月号)に、このような記述がありました。
「そしていわゆる<パンク・ロック>の全盛というのも(主にニューヨークでの)四年ほど前のことである。」
1976年マイナス4年というと、1972年頃がパンク・ロック全盛ということになります。

次回は、間章の「パンク・ロック論のための覚書」をベースに、もうちょっと調べてみましょう。



付録:いきなり凄いアルバムに出会った2013年1月

年始早々、いきなり凄いアルバムに出会ってしまったので、付録です。

Paquet Courts / Light Up Gold

Paquet Courts / Light Up Gold

Paquet Courts

ライブ風景

Parquet Courts『Light Up Gold』

どういったバンドなのか全く知りません。
ジャケットが間抜けなので聴いてしまいました。

いきなりThe Strokesを彷彿させる、イケイケなギター・サウンドでノックアウトです。
The Feeliesの「Fe Ce La」なんかを連想してもらってもいいです。
個人的には、DILS~Rank & File『Sundown』辺りを思い出させてくれるので、文句無し。The Plugz『Better Luck』も近いな。
付け加えるならば、The EmbarrasmentやPavementのようなぶっちぎれ感もある。
良質なアメリカのインディー・ロックを”ぎゅーっ”と濃縮して、ぱっと放り投げ出したようなところがあります。
ミネアポリスのHowlerよりも、意図的に田舎臭く、乾ききった土の匂いがプンプンしています。
エクストリームな音楽からかけ離れた感じがしますが、ガチャガチャした早急さは、パンクそのもの。
The Velvet Underground『LOADED』やThe Modern Loversのような、どことなく都会のねじれた感触も持ち合わせているから不思議なバンドです。
少しだけ、このバンド調べてみました。
結成は2011年。メンバーはAndrew Savage(Vo.Gt), Austin Brown(Gt), Sean Yeaton(B), Max Savage(Dr)の4人。
テキサスからニューヨークに出て来たみたいです。


California X / st

California X / st

California X

青い空が似合っている

California X 『California X』

Parquet Courtsに驚いていたら、またもやとんでもないバンドに出会ってしまいました。
バンド名が凄いです。”カルフォルニアX”です。
でも、出身は東海岸のマサチューセッツ。
レーベルは、ドン・ジョバンニです。
バンドの写真を見ると、これぞアメリカ!っていう雰囲気の3人組で、”まいった”と即答しそうです。
音がこれまた凄くて、まるでDinosaur Jr.そのもの。
ぶっ厚いノイズギター・サウンドにラウドなドラムスとブイブイしたベース。
完全に3拍子揃っています。
そのうえヴォーカルは投げやりな歌いかた。
グランジ完全復活かと思わせるほど、アメリカな音です。
勢いが半端じゃないです。
ただし懐古主義のバンドではなく、Torcheを思い出させるようなモダンなところもあるから曲者だ。

昨年はOFF!やMETZに喜んでいたのに、今年もなんか凄そうな気配がします。


text by TAYLOW / the原爆オナニーズ