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SPEAK OFF THE CUFF !

コラム

馬の耳に念仏

第6回 ぶっ壊れたロック

Extreme The Dojoに行くと、ライブを観ている最中に、少しずつ感覚が麻痺し、崩壊していくような感覚を覚える事があります。
今回は、崩壊していく感覚の味わえる、いや、ズバリ”ぶっ壊れたロック”を取り上げてみましょう。
意識して壊れた音を出しているバンドもあるから、素で壊れているものにしましょう。
OLD SKULL『GET OUTTA SCHOOL』

OLD SKULL『GET OUTTA SCHOOL』

The Exploited『Punks Not Dead』

The Exploited『Punks Not Dead』

Missing Foundationのロゴ

Missing Foundationのロゴ

1990年代初期、NYの至る所に貼ってあった。

スケートボードをする、Robin Davies

スケートボードをする、Robin Davies

この親だから、彼等がいるのだ。

OLD SKULL『CIA DRUG FEST』s

OLD SKULL『CIA DRUG FEST』

ジャケットに写っている子供の写真が、微笑ましく可愛らしいので入手したOLD SKULLのアルバム『GET OUTTA SCHOOL』です。
購入する時、The Exploitedの『Punks Not Dead』をアメリカ的に置き換えたかのような風景が頭の中で浮かんだものです。

スケート・パンク、若しくはハスカー・ドゥのようなメロディックなハードコア・パンクロックを期待して再生したら、内容は、想像を遥かに超えるものでした。
叫びまくるヴォーカル、かき鳴らすギター、叩きまくるドラムス。
このように書くと、何か凄いバンドを見つけたように思われそうですが、実態はひとり一人が思いのままにやっているだけにしか聴こえません。
しかし、何故か全部の音にまとまりを感じることが出来るので不思議な作品です。

何しろ、ジャケットに写っている子供達が、このバンドの正体でした。

OLD SKULL

OLD SKULL

ポーズを決める3人。スケートボードがイカす。

J.P.Toulon(G.&Vo)、Jamie Toulon(Key)、Jesse Collins-Davies(Dr.&Vo)の3人。
なんと年齢は、Jamieは9歳、J.P.とJesseは10歳。

The Shaggsを引き合いに出すと分かり易いのだろうけど、個人的な印象として、ドタバタしているところや、ノイジーな感覚が、本能のままハードコア・パンクロックをやっていた、初期のNecrosやDie Kreuzenを連想しました。
思いついた言葉と音を、ガチャガチャ表現するだけ。
音楽的なフォーマットなんて完全無視。
Red Crayolaの『The Palable Of Arable Land』の混沌とした音作りに近い雰囲気的もあります。

一般的に考えると、子供達のアルバムを作るのにスタジオに入って録音するなんて考えないと思いますが、このアルバムは、Nirvanaの『Nevermind』やSmashing Pumpkinsの『Gish』といった名盤を録音した、あの”スマート・スタジオ”でしっかり録音されているから驚きです。
(余談ですが、日本のバンド、赤痢の『Naked Sekiri』もスマート・スタジオでレコーディングしています。)
エンジニアーはGarbageのメンバー(G)として有名なSteve Marker(Killdozerの『Little Baby Buntin'』等をプロデュースし、同じくGarbageのButch Vigと共にグランジ初期の陰の立役者)。
プロデュースは子供の親である、Vern ToulonとRobin Daviesが担っています。
ここで、プロデューサー二人の素性を明かすと、Vern ToulonはNew Yorkのノイズ・ジャンク系バンド、Missing Foundationの初期メンバー。
Robin DaviesはSSTからアルバムを出している、Tar Babiesのベース。

ここまで、いろいろ判ると、少しだけ先入観が加わり印象が変わるものですが、本作品の前では、要らぬ心配!といいたくなります。
受け入れることが出来るかどうか別にして、「Homeless」や「Hot Dog Hell」は、勢い、アイデアが面白い。
何しろ”I Hate You Ronald Reagan”なんだから。
「Skate Or Die」という、彼等らしい曲もあります。

OLD SKULL

OLD SKULL

メンバーチェンジ後、
プロモーション写真も決まっている。

OLD SKULLはライブを行っていて、当時、GWAR、The Flaming LipsやSonic Youthと共演していたみたいです。
しかし、ドラムのJesseが抜けて、メンバーチェンジします。
担当も変更し、少し音楽的になったセカンドアルバム『CIA DRUG FEST』をリリース後、解散します。

様々な種類の音楽があるけど、パターンにハマって面白くないなあと感じたり、既成の概念を打破したい、そのような時に私が聴くのが、『GET OUTTA SCHOOL』です。
『GET OUTTA SCHOOL』を聴いた後に、『No New York』を聴くと、まともなロックのアルバムを聴いているような錯覚に陥ることが出来ます。
実は、ぶっ壊れているというより、素のままのパワーに溢れた魅力に満ちているからです。
それにしても、9歳でバンドだなんて、凄い!


text by TAYLOW / the原爆オナニーズ