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SPEAK OFF THE CUFF !

コラム

野生のメタル

野生メタラーの日常

EAT magazine中期~後期途中にかけて編集長をしていた星川と申します。現役時代の得意技は誤字脱字と徹夜でした。
EATを離れて早8年、まさかまたこの名の下で原稿を書かせていただける日が来るとは…大変光栄です。

私は現在、先頃ラウドパークが行われた会場が所在する某県で専業主婦をしています。
さて、ラウドパークに限らず、大型メタルフェスへ行くたびに、私には常々思っていた事がありました。
それは、「メタルTを着たこの大勢のメタラーは、一体どこからやってくるのだろうか?」ということです。

かつて私は彼らに情報を届けたくてEATを作っていましたが、はてこの人たちは普段どこにいるのか?という疑問が最後まで拭いきれなかったのです。街でよく見かけるわけでもないメタルT。たまにいれば目で追いたくなるメタラー。ライヴハウスではバンドが動員に頭を悩ませ、レーベルはCDを売ろうと悪戦苦闘、EATの部数もどんどん下降していったあの日…なのにフェスには、大挙して押し寄せる。彼らはいつも何を食べ、何を買い、どんな娯楽に興じ、どこで生活しているのか?野生のメタラーはどこにいるのだ?!と、当時は見えないターゲットに向かって空砲を撃ち続けているような虚しさがありました。

しかし最近、専業主婦の生活をしている中で、ふと気付いたのです。
「メタルTを着て行く場所が、ない」ということに。
ハウリング・ブル時代は毎日メタルTを着て過ごしていたので麻痺していましたが、メタルTは血!髑髏!死体!など、日常生活になかなか溶け込まないデザインが多いと思います。
例えば最近、某衣料量販店でMETALLICAのロゴTシャツを販売しているようで、地元のショッピングモールでも着ている人をよく見かけます。モデルやタレントがテレビでロックTをお洒落着にしている影響もあるのかもしれませんし、全員がMETALLICA及びメタルファンではないと思いますが、結局はシンプルなロゴだけのTシャツ、あれがイ○ンやらら○ーとで着るメタルTの限界なのです。
ショッピングモールという平和な空間は、アイデンティティを主張せずモブキャラでいることに快適さを感じる場所なのだと、しみじみ感じております。

こうしてメタラーは普段アイコンであるメタルTを封印し、なりを潜め、特別なイベントでのみその姿を現しているのだ、と思われます。
斯く言う私も、乳児を抱えライヴハウスから遠のいている現在、子育て支援センターやママ友とのランチなどで、エグいデザインのTシャツを着て行くのをためらっております。はっきり言って日和っています。
そう、つまり私は、かつて血眼で探していた「普段どこにいるか分からない野生のメタラー」に、自分自身がなっていたことに気付いたのです。

このコラムでは、そんなごく普通の主婦感覚を駆使し、メタルを消費者目線で綴って行こうと思っております。
メタルを提供する側の方々が、我々の居場所に気付いてくれますように…。

text by 星川